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2017年7月 2日 (日)

君が人生の時(その2)

 ~新国立劇場・中劇場 S席 1階 19列 65番~

『君が人生の時』 千秋楽

ジョーについて・・・前回観た時は、坂本さんは気になってたけど敢えて全体を見るようにしていたせいか、不思議な人っていう感じばかりが残ってて。周りを見てからジョーに戻るとその前の場面と感情がコロッと変化していて。なので今回、がっつりジョーだけを見ていようと思った訳だけど、やはり感情のつながりは無いなぁと思ったものの、逆にそのことが意味のあるもののように思えて。周りの人たちの動き、会話に沿った言葉を発していたんだ、と気付いたんですよ。それを顕著に感じたのが、裕福そうな夫婦が来店した時のジョーの言葉で、この時彼は、トムにお金の出どころを尋ねられて「金は汚い」だの「こういう時代だから金はどんどん増えていく」だのと答えていたこと。これってジョー自身が、というより資産家夫婦がどのように裕福になってきたのかを示してる気がするんだよね。そう思い始めると今度は、ブリックを撃ち殺してやろうとするのだってそこに居合わせた人たちみんながおそらく心の中で思っていたことだろうし、でも実際はそう出来なくて呆然と座り込むのだって皆の無力感を表しているようだったし、ブリックが殺されたと聞いて喜ぶのも、あの場にいた皆の共通の思いだっただろうし。つまり、ジョーという存在は一個人ではなく、人の感情・心そのものなのではないか?と思って。人の心だからこそ、不幸そうな女性に話しかけるのだって彼女のバッグをぼ~っと眺めていてふとアルファベットに目を留めて、あれ、何かの略かな、イニシャルなのかな、って思ったことがそのままジョーの言葉として発せられていたように思えるんだよね。前回観てから今日まで劇評や感想をいろいろ読んでみたけど、ある所では“神様”とか“天使”とか書いてある雑誌もあって、その考え方も有りだなぁ、と。もっとも、初見で私は友人に「ジョーは酒場の妖精さん」と言ったんだから、そう遠くはないか?と思ったり(笑)。ジョーは作者の主張を台詞にしている、というような劇評も見かけたけど、確かに、酒場に集う色んな人たち=アメリカにいる様々な人種に対して思ったことをジョーの口から語らせているような気もするね。・・・に、しては、あそこに東洋人が出てこないのってどういうことだろう?当時はそんなにいなかったのかな。それともまた違う意味があるのか・・・ニックはイタリア系だったよね。第二次世界大戦が始まったら敵国になるんじゃ・・・とか、また色々違うことを思ったりもします。

あとは、時代背景と・・・世界史に疎いのが自分として理解不足を招いてしまったな、と思ってちょっと反省?台詞をよくよく聞いていると、例えば新聞売りの青年が自分はギリシャ人だと言った後でもう一言地名らしき単語を出すんだけど、そこで少し間があって。それってもしかしてその地名に何かエピソードがあるのかも?とは思ったけど、私にはピンとこないし、そのまま忘れちゃって頭に残らなかったから調べようもないし。キティがポーランド人だっていうのは、解説などで当時ポーランドが置かれた状況を知ると、その境遇に重ね合わせることもできるけれど。ゲームに熱中していた青年は何と言ってたっけ?アーリア人?その辺もイマイチよく分からない。後手になってもいいからちゃんと調べたかったんだけどねぇ。

それにしても、坂本さんをはじめキャストの皆さんの発声の良さときたら。男優陣は皆張りのある声で(例外1名。ウェスリー役の人は弱々しいイメージで本来ミュージシャンなので・・・しかし、演技は普通に上手かったな)、女優陣は響きの心地良い声。すみ花ちゃんの声も好きだけど、看護婦さん役の人の誠実そうな声も、不幸な婦人の寂しそうな声色も、資産家の妻の好奇心旺盛な感じなのも、どの方の声も好きになれる感じでした。

坂本さんは・・・やーっぱり、カッコ良い!の一言に尽きます。今回ほとんど動かない役ということで、どう見せてくれるんだろう?と構えていたんだけど、座ったままでもしっかり張りのある声を出していて。あと、指先の美しさがやはり素敵で、わざとらしくない指し方。そして、まさにナチュラルボーン紳士だよね、物腰の柔らかさ、気品のある佇まい、相手の話を否定せず聞いてあげる余裕・・・優雅、とでも言おうか。坂本さんの印象・イメージにある一部分を引っ張り出したようなこのジョーのキャラクターに出会えたのは本当に良かったなと思います。

すみ花ちゃんも、最初こそ娼婦で蓮っ葉な態度を取っているけれど、元タカラヅカのイメージを活かすように、底辺に生きてはいても心は気高く美しいという女性を演じていて、本当に素敵でした。ラスト近くで精神的にも踏みにじられてしまうけれども、その分未来はきっと良いことがあるよ、トムと幸せになってね、と心から思わせてくれたし。坂本さんと共演してくれて、芝居を観ることが出来て、嬉しかったです。

今回この作品、原作とかシナリオを読んでもっと深く掘り下げてみたい気もしますが、なかなかに入手困難なようで。翻訳されたものが手に入らないってことなのかな、原文はあるようなんだけど・・・原文じゃ読めませんな。ま、その辺は諦めますが、ただ、余韻はかなり残る作品になりそうです。もしくは想像が尽きない感じ。

P.S.その1。ジョーが途中でチェコスロバキアのことを新聞で知って「プリボール!」と叫んだ時の声の良さ!あと、外にいる救世軍に歌をリクエストする時の、やたら良い発声ときたら。新聞売りの青年がテノール歌えるって言って歌った時の声が若干細かったんで、お兄さん、ジョーの旦那に負けてますぜ?って思ったり。あと、トムが言ったガムのテイストが知らないやつだった時のリアクションが、台詞自体はジョーなんだけど何か坂本昌行そのものが出ていた気がして・・・可愛いなぁ、と。

P.S.その2。千秋楽ということで、カテコでコメント有り。「観て下さった方の中には、『何だこれ?』と思われた方もいれば、『あそこのあの台詞が染みました』というのもあって」と。まぁ、確かに・・・最初はなかなか感想がまとまらなかったよね。2回観て感じるものが変わった部分もありますし。あと、「舞台の上ではみんな、一切飲んでいません!後で・・・」と坂本さんが言うと、キャスト数名がガッツポーズ取ってました(笑)。打ち上げ行くぞー!って感じでしょうな。

P.S.その3。もひとつ思い出した。ジョーは脚が悪い設定。で、椅子に座ってる間は大体足を組んでるんだけど、左脚を上にして組む時、脚を手で持ち上げて組ませてたのに気付く。そんな細かいところまでもこだわっているのが何か・・・役者って凄いなー、と。

おしまい。

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